太宰ファンの花澤香菜が「人間失格」参加に興奮、SF化は「まったく想像できなかった」

「HUMAN LOST 人間失格」の新キービジュアル。

劇場アニメ「HUMAN LOST 人間失格」の完成披露上映会が、本日11月2日に東京・EX THEATER ROPPONGIで行われた。イベントにはキャストの花澤香菜、監督の木崎文智、脚本を手がけた冲方丁が登壇。ステージでは本作の新たなキービジュアルも解禁された。

太宰治の小説「人間失格」に大胆なアレンジを加えつつリメイクした「HUMAN LOST 人間失格」。医療革命によって人が死を克服した昭和111年の東京で、宮野真守演じる主人公・大庭葉藏が運命に翻弄されるさまを描く。花澤が演じるのは、人間が異形化してしまう現象“ヒューマン・ロスト”に対抗する、隠れた国家機関“ヒラメ”の隊員・柊美子役。大学で日本文学を専攻していたという花澤は、「周りに太宰治好きがたくさんいて、文学散歩で太宰が入水自殺した玉川上水を巡ったりしていました」と当時を振り返る。また「『人間失格』は個人的にもすごく好きな作品」と述べ、「もともと好きだった作品に、今関わることができてうれしい」とコメント。一方、同作が“SF作品”として生まれ変わることは「まったく想像できなかった」そうで、「どう結びつくんだろうとワクワクしていました」と笑顔で語った。

木崎監督は、監督のオファーを引き受けた理由を「古典文学とSFアクションを融合させるというところに興味を引かれました」と説明。一筋縄ではいかないだろうと思ったそうだが、「冲方さんが参加されると聞いて、だったらなんとかなるんじゃないかと。割とライトな感じで引き受けました(笑)」と打ち明ける。その冲方は、脚本作りの苦労を尋ねられると「大変すぎてほとんど覚えてないです」と苦笑い。「ブレイクスルーが2カ所あって……」と切り出し、「人間という規範から外れるのではなく、人間全体が失格した世界を描こうとした。これがSFになったきっかけです」「『人間失格』を描くうえで重要なのは、死の描き方。むしろ死がない世界を描くことで、逆に死が浮かび上がるストーリーテリングにしようと思いました」と話した。

本作の印象的なシーンを尋ねられた花澤は「老人たちの怖さ……!」と回答。本編を思い出しながら「私がおばあちゃんになったとき、こんなふうにはなりたくないなって(笑)」とその理由を伝える。木崎監督は“外国人から見た日本”のような、おかしな世界観をあえて描いたことに言及。冲方は「AKIRA」のオマージュであるバイクのシーンを挙げて、「このシーンができたことで『これは行ける』と思いました」と手応えを示した。「HUMAN LOST 人間失格」は11月29日に公開。

※木崎文智の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記

(c)2019 HUMAN LOST Project